ひとゆるみレポート 07 スポットライトの当たらない高校時代のハンドボールで、勝ち獲った自信。

杉浦誠太さん
東京大学 薬学部3年生。ハンドボールの強豪校で部活一色の中高時代を過ごした杉浦さん。ベンチ入りさえできない悔しさをバネに、朝から晩まで練習漬け。そんな努力の甲斐あって、インターハイ予選では県ベスト8に入賞。

自分には、才能がない。

悔しいから気づかない振りをしてたけれど、心のどこかではわかっていたんだと思います。ハンドボールを始めたのは中学のとき。サッカーや野球と違って未経験者ばかりだったから、みんなで同じスタートラインに立てる。そう思ってハンドボール部に入部しました。
しかし、その目論見はことごとく外れました。動きを覚えるのが遅い。足が飛び抜けて速いわけでもない、人より体力があるわけでもない。レギュラーどころか、ベンチ入りさえできませんでした。もう辞めようと、何度も思いました。それでも、高校でも続けることにしました。このままで終わる自分自身を認めたくなかったから。どこまでやれるのか試したい。その気持ちだけでした。

本の虫ならぬ、練習の虫。

高校に上がってからは、朝練は当たり前。昼休みも練習。部活後も最後まで居残り練習。通学途中は両足に合計4kgのウェイトをつけて筋トレ。誰よりも練習した自信があります。すると、仲間から「お前、すげぇな」と言われるようになって、練習試合にも少しずつ出られるようになりました。
そして、高校生活最後の大会であるインターハイ予選。練習後のミーティングルームでメンバーが発表されました。選ばれるのは60人中15人。次々と発表される中、ついに自分の名前が呼ばれました。嬉しかったですね。諦めなくてよかったなと。
インターハイ予選の結果は県ベスト8。後悔はありません。仲間と一緒に試合に出ることができたので、むしろ充実感と満足感でいっぱいでした。努力を続ければ絶対に伸びる。この経験が自分に大きな自信を与えてくれました。

伸びない人なんて、誰もいない。

高校3年の6月に部活を引退して、7月から大学受験に向けて動きだしました。志望校には「東京大学」と書いたものの、夏の模試ではC判定。「東大を目指す」と言ったら、周りは「本気?」みたいな反応だったし、実際12月の直前の模試でもD判定でした。でも、自分を見限らなかったからこそ今があります。最後の1カ月は睡眠3時間で追い込みをかけました。マンガみたいですけど、背中に棒を入れて寝ないようにして(笑)。そして3月10日、卒業式の当日に合格発表がありました。周りからは「お前が!?」と驚かれたことを覚えています。
できるかどうかなんて、やってみないとわからないですよね。僕は天才ではありませんが、もし才能というものがあるならば、それは諦めが悪いという才能かもしれません(笑)。ハンドボールの練習でもその後の受験勉強でも、頑張り時にはいつもカフェオーレが身近にあったせいか、今でもここぞという時には欲しくなりますね。

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