ひとゆるみレポート 04 イラストを描いてるときが、いちばん自分らしくいられるとき。

小林竜太朗さん
デジタルで描くイラストを通して、独自の世界観を表現する10代のアーティスト。誰かに習ったことはなく、すべて独学。この春、高校3年生に進級。美大への進学を希望している。

気づいたときには、描いていた。

記憶では、幼稚園の頃には好きなヒーローとかを描いていたと思います。無意識というか、その頃にはもうイラストを描くことが生活の一部でした。ちゃんと描こうとしたのは、高校に入学する前くらいですね。「最後まで完成させなくちゃ」と、思ったんです。それまでは、ノートに描く落書きみたいなものだったんですけど、突然最後まで完成させたい衝動にかられました。
昨年、機会があって油彩を体験しましたが、準備は大変だし、修正も簡単にはできないし、ちょっと家ではできないなと……。そこで、僕は納得する線が引けるまで、何度でも修正できるデジタルイラストが向いているんだなと思いました。近所のスーパーでバイトをして、パソコンやペンタブなど、イラストを描くのに必要なものを一通り揃えました。

習って描くのは、すこし苦手。

絵画教室とかスクールに通ったことはありません。すべて独学です。誰かにやり方を言われて、その通りにするのが苦手というか、窮屈というか。習うよりも自分で試してみたい気持ちが強いのかもしれません。SNSで好きなイラストレーターさんのイラストを見たり、ネットで調べたり、本を買ってみたり。それらを参考にして手探りで何度も繰り返すうちに、コツが掴める瞬間があるんです。その、「こうすればいいんだ」という感覚が好きですね。
僕は人の顔のパーツだと、鼻と口周りを描くのが好きなんです。鼻下のラインはとてもバランスが重要で、難しいんですよ。あと、今はシャツの描き方を練習中です。シワを表現する影のつけ方が難しくて……。思うように描けなくて苦しいときもありますが、イラストと向き合っている時間がやっぱり好きなんですよね。

  • 2016年の年賀状デザイン

自分が自分であるために、描いています。

もしイラストを描いていなかったら、多分相当ヒマでしょうね(笑)。
物心ついた頃から当たり前にしていたことですし、湧きあがるものを「表現しなくちゃ」という使命感にかられるというか。モノの捉え方とか価値観って、イラストに表れると思うんです。描いているときが、一番自分らしいと感じています。ただ、今はまだ見てくださる方に思いを伝えられるほどの表現力はないので、まだまだ勉強中です。
時間さえあればずっと描いていますね。休みの日はほとんど飲まず食わずで描いていることも多いです。思い通りに描けないときや、集中力が途切れたときは、ちょうどいい甘さのものが欲しくなります。そうすると、いい気分転換にもなって、もう一度イラストの世界に没頭できるんです。

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